東北でゼロ パートナーシップ制度

Partnership

 同性カップルを婚姻に準ずる関係と公認する「パートナーシップ制度」が全国で進む中、東北での導入はまだない。導入を目指している当事者たちに、どんなことに困っているのか話を聞いてみた。 

◆出産 

 2018年9月、レズビアンのHIROさん(37)が山形県で初めて性的マイノリティー「LGBTQ+カラフル」を立ち上げた。山形市でのパートナーシップ制度を目指して活動している。 4年ほど前HIROさんは友人男性から精子提供を受け長女を出産したが、パートナーの女性は分娩室に入ることが許されなかった。病院側から「家族ではない」と断られてしまった。パートナーの女性が見守ることも許されず、長女を抱っこするまでに数時間後だった。「私たちの子どもなのにすぐに顔もみせれなかった。とにかく悔しい」と語った。 

 活動を始めて同じように悩んでいる人、苦しんでいる人がこんなにもいたんだと気付いた。「制度が導入されたらカップルとして堂々と生きていけるようになるはず」 

◆県外へ 

 「家族や同僚に知られずにカミングアウト出来る場所が地方にはない」と指摘する青森市で「青森レインボーパレード」を開催しているレズビアンの岡田実穂さん(36)。都会とは違い地方には逃げ場がない。生きづらさから県外に転居する当事者を何人も見てきたという。「地域の繋がりが強いほど当事者にとっては生きづらく精神的にも追い詰められてしまう。制度があれば故郷に戻ってくる人もいるのではないか」と話す。 

 パートナーシップ制度は、15年に東京渋谷区が条例を定め初めて導入した。少しづつ増えているが東北地方での導入した自治会はまだない。 

 岩手県陸前高田市議の木村聡(あきら)さん(26)は導入を目指して活動する地域議員の一人だ。自身は当事者ではないが、地方の当事者たちの声を上げづらさを理解している。「声が上がらなければ問題視されず何も解決しない」と言う。 

 今月25日、木村さんが市議会で制度導入についてきいたところ戸羽太市長は 「幅広い形で制度設計できれば」と意欲的な言葉が返ってきた。 木村さんがこのようなやりとりをSNSなどに投稿すると当事者から応援のメッセージが届くという。一歩踏み出す自治体があれば、ほかの東北にもいい影響を与えられるのではないか。 

 

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